2024/10/21
バングラデッシュ委員会 国内の平和に向けて立ち上がる
報告 |バングラデシュで公務員の特別採用枠に抗議する学生中心のデモが拡大し、バングラデシュ国内では不安と悲しみ、怒りの声が広がっている。ヒューマンライツ・サポート・ソサエティ(HRSS)の報告によると、2024年7月16日から9月9日までのバングラデシュにおけるクオータ改革運動と市民蜂起の間に、875人が死亡した。死者の大半は銃弾による負傷が原因で、7月18日から20日、8月4日から7日の2つの期間に748人が亡くなった。また、3万人以上が負傷したとされている。報告では、実際の死者数は1,000人を超える可能性があると指摘されている。そのうち犠牲者の77%は銃撃で死亡し、70%は30歳未満、52%は学生であった。 2024年8月5日にシェイク・ハシナ政権が退陣した後、全国で警察署や少数派の財産を標的にした略奪や破壊行為が広がりった。死亡者数はダッカで最も多く、540人が亡くなり、次いでチッタゴンやクルナなど他の地域でも多数の死者が出ている。
ACRPバングラデシュ委員会は一刻も早く事態が収束するよう国内での平和メッセージの発信やチッタゴン市で少数派への迫害に抗議し、平和と調和を促進するための大規模な集会を開催した。この集会は、「憎しみを育てるな!私たちは調和を望む。私たちは平和を望む」というスローガンのもとで行われ、さまざまなコミュニティ、宗教指導者、平和活動家が多く参加した。
ACRP東京事務局は、この緊急事態に対しバングラデシュ委員会のメンバーとの連携を図るため、すぐに会合を開いた。バングラデシュ委員会は、子どもの権利保護など、ACRPの主要プロジェクトに積極的に関わってきた重要な支部である。ACRP各国が、彼らの国が暴力と暴動に苦しんでいることを深く悲しんでいることを伝え、ACRPの連携を約束するものとなった。
彼らの報告によると、2024年7月から8月にかけての運動後、バングラデシュのヒンドゥー教少数派は、特に政治的混乱の中で差別を受けている。暴力や強制改宗、社会的排斥が原因で、これらのコミュニティは恐怖と脆弱さを感じている。2024年8月には、ヒンドゥー教の寺院や家が広範囲に攻撃され、保護対策やコミュニティ支援の必要性が急務となった。バングラデシュの人口の約8〜10%を占めるヒンドゥー教徒は、法の下で平等な権利と保護を受けるべきだが、彼らが直面している差別は人権侵害であり、国全体の社会的安定を揺るがすものだと言う。
また、最近の洪水はバングラデシュの多くの地域で貧しい人々に深刻な影響を与えている。これらのコミュニティは、土地の奪取や文化的疎外、財産や命の喪失に直面している。貧困層や少数民族の人々は、暴力や洪水によってさらに苦しんでいる。シェイク・ハシナ政権の失脚後、新しい政府が治安維持に苦労しているが、自然災害である洪水がバングラデシュの経済や政治の状況をさらに悪化させている。
私たちは定期的に会合を開き、チッタゴンとダッカの支部のリーダーが協力し合い事態の収束のために立ち上がりたいという強い願いから、ACRP東京事務局とバングラデシュ委員会で“Protecting Vulnerable Communities: A Flagship Initiative for Children, Minorities and flood affected people in Bangladesh” (仮訳:「ぜい弱なコミュニティの保護: バングラデシュにおける子ども、マイノリティ、洪水被災者のためのフラッグシップ・イニシアティブ」)というテーマでフラッグシッププロジェクトを立ち上げることに合意した。これまでの会合を通して、脆弱なコミュニティを支援する必要があると再認識した。このプロジェクトをは彼らの保護とエンパワーメントに向けた重要な一歩を踏み出そうとしている。また、教育やアドボカシー、コミュニティの関与を通じて、これらの不正に苦しむ人々にとって、より安全な環境を作ることを目指している。
他にも事態の収束を願い、バングラデシュ委員会では平和の会合なども計画している。彼らの取り組みが一滴の水のように、やがて大海へと広がっていくことを願っている。小さな一歩が大きな変化を生み出し、困難に直面する人々に希望と光をもたらすことになるだろう。バングラデシュ国内の問題解決の一助となるように、心から願っている。